犬の全身麻酔は危険?!手術前後のケアでリスクを回避しよう

こんにちは。Marineです。

愛犬が全身麻酔をしなくてはならない、という時、悩みますよね。

大けがや大病など、今すぐ手術をしないと命に係わる、という時は選択の余地がありませんが、慢性的な疾患や、手術をすべきかすべきでないか、獣医師の意見が分かれる時などは、本当に心配して、悩んでしまうと思います。

麻酔とは何か、どのような副作用があるのか、ケアすべきことは何か、体験を踏まえてご紹介していきます。

麻酔には、全身麻酔と、局部麻酔の2種類あり、また、全身麻酔の中にも、吸入麻酔と、注射麻酔があり、それぞれリスクが異なってきます。

全身麻酔

全身麻酔は、完全に意識を失わせ、全く痛みを感じさせずに処置をする方法です。

吸入麻酔

吸入麻酔は、肺から麻酔ガスを吸入して麻酔をかける方法です。
麻酔導入自体は静脈から行います。

吸入麻酔では、術中にモニターで心拍、血圧、心電図、呼吸状態をモニタリングし、吸入麻酔の量の調整を行います。

医療ドラマで麻酔医がモニターを見て麻酔を調整しているシーンがありますが、そのイメージに近いです。

吸入麻酔を導入するには、モニター含め、設備が必要になるので、すべての病院でしていただけるわけではありません。
また、麻酔薬自体も注射麻酔に比べてかなり高額になるようです。

注射麻酔

注射麻酔は、注射のみで麻酔を行う方法です。
術中に量を増やすことはできても、減らすことができず、調整が困難です。

局部麻酔

局部麻酔は、麻酔をかけるところだけに注射して、麻酔をかける方法です。

人間の歯科治療を思い浮かべれば想像がつくと思います。
局部麻酔だけで治療を行うのは犬の場合は難しく、全身麻酔と併用して使用するケースが多いようです。

麻酔のリスク

麻酔は、人工的に意識を失わせ、仮死状態を作ることと同じです。

呼吸、心臓、肝臓、腎臓、すべての生きるための機能がすべて低下した状態になりますので、何かあった時に身体が自身のことを守れなくなってしまいます。

公の数字としては出ていないのですが、獣医師に確認すると、麻酔による死亡率は約0.1~0.3%、と言われている、いうことでした。

術中のリスク

術中は、低下させていた機能が、生命維持最低ラインを下回る、もしくは止まる可能性があります。

具体的には、次のようなことが想定されます(例)

  1. 嘔吐しようとして気管を詰まらせる
  2. 呼吸数の低下、停止
  3. 心拍低下による血圧低下

こうした術中リスク排除のため、ひとつひとつ対応をすします。

1.は、前日から絶食させることでリスクを回避し、また、2.3.は、術中にモニタリングできれば、状態に合った投薬などで回避に努めることができます。

術後のリスク

麻酔による事故は、術中だけではありません。

麻酔が覚める時、また、家に帰ったあとも危険は残っています。

麻酔薬を解毒させる過程で、臓器に負担が掛かったり、術中に極端に低血圧になっていたための後遺症などの危険もあります。

モニターの数値には現れなかった場合も含め、どんなベテラン獣医師にでも不測の事態ということはあるようです。

犬種や状態によるリスク

麻酔によるリスクはすべてのワンちゃんにとって同様ですが、ワンちゃんの身体の構造や、機能低下などによって、その部分のリスクが高くなる可能性があります。

犬種によるリスク

一般的に、短頭種のワンちゃんは、鼻の孔が狭いため、麻酔の影響によって呼吸が上手くできなくなる可能性が他の犬種より高くなる、と言われています。

老犬(およそ10歳以上)

自己免疫機能が全般的に衰えが出てくると、術中の不測の事態や、術後の回復期に上手く身体が対処できない可能性が高い、ということが考えられます。

呼吸器系や心臓、肝臓、腎臓の持病がある犬

体内機能の一部に疾患があると、やはり、術中、術後の負担に身体が対処できなくなる可能性が考えられます。

飼主ができること

全身麻酔を受ける、となった際に、飼主ができることについてまとめました。

先日、うちのコが全身麻酔で歯科治療を受けたことも実例としてご紹介します。

やったことのは、以下の通りです。
15歳という高齢であったことから、かなり綿密にケアをしました。

  1. 全身麻酔をうけての処置、手術が必須かを確認する
  2. 全身麻酔が可能かを複数獣医師に確認する
  3. 手術内容に一番合致した獣医師を選ぶ
  4. 注意事項を遵守する
  5. 術後の覚醒時に一緒にいる
  6. 術後に身体機能を高める

1.全身麻酔をうけての処置、手術が必須かを確認する

この点が一番大事だと思います。

十分納得いくまで、場合によっては複数の獣医師さんと相談して判断しましょう。

全身麻酔は、命のリスクもありますし、身体に少なからずのダメージを与えます。

うちのコの場合は、歯周病の治療であったため、正直、この歯周病が抜歯(=全身麻酔)をして治療しなくてはならないほど重篤なのかの判断が難しかったです。

獣医大には歯科がなく、歯科治療の技術は、獣医師さんが個々で独学でどこまで学んでいるかによるため、先生の意見が分かれ、迷いました。

うちのコの例でいうと、歯石はそれほどではなかったのですが、表面は綺麗な歯が何本かぐらつき、歯茎に穴が開き、辛そうにしていたので、このままどんどん悪くなっていく前に、解決してQOLを高めてあげたいと思ったのが治療しようと考えたきっかけでした。

歯科に力を入れている獣医師に相談したところ、抜く必要があるか、目視で判断はできず、正確にはレントゲンを撮らないとならない、だた、レントゲンを取るにも麻酔が必要、とはっきりと言われ、決心しました

2.全身麻酔が可能かを複数獣医師に確認する

これは、年を取っている、持病がある、また、短頭種のワンちゃんの場合は特に入念に検査してもらいましょう。

日々体調は変化しますので、最終的には手術当日にも検査をしてもらいましょう。

うちのコの場合は、僧帽弁閉鎖不全症でしたので、心臓病の主治医、大学病院、歯科処置の先生とも相談し、今の状態であれば問題ないという見解をいただきました。

3.手術内容に一番合致した獣医師・病院を選ぶ

腫瘍除去、歯石除去、抜歯、治療したい症状に一番強い獣医さんを選ぶ必要があります。

また、全身麻酔も吸入麻酔をしてくれる設備が整った病院を選びましょう。

その上で、我が子の命を預ける獣医師さんが信頼できるか、十分に見極めてください。なかなか出会えない場合でもあきらめずに。

私も、何人もの先生にあたりました。全部抜かないと生死にかかわるけど、心臓が悪く高齢なので、手術はできない、と乱暴に言われたこともありました。

うちのコが歯科処置をした病院は、歯科処理専用室があり、設備も整っており、実績も申し分ありませんでした。

術中、見守ることができる部屋が付いていました。自信がなければできないことだと思いました。

麻酔前で不安そうな顔をしているところから、目覚めるところまで、全部見守ることができ、また、心電図の音が聞こえているので安心でもありました。

@荻窪ツイン動物病院

具体的な処置をずっと見守っていましたが、こちらの動画と同じでした。

こちらは、八王子にあるノア動物病院の院長の愛犬アポロくんの吸入麻酔です。モニタで調整してくれるため、リスクは抑えられますが、ゼロにはなりません。

4.注意事項を遵守する 術前、術後共

前日からの食事、および当日の水分制限は麻酔中の嘔吐による気道閉鎖を防ぐためのものなので、しっかり守りましょう。

術後のエリザベスカラーも、折角縫った傷口が開かないため、動くようになったら可哀想でも付けましょう。

痛み止め、化膿止めは飲んで発作を起こすコもいると聞いて怖かったですが、飲ませるほかありません。
今回の先生は、非ステロイドの痛み止めを出してくださいました。
ステロイドに反応するコは、あらかじめ非ステロイド剤を処方してくれるか相談しておきましょう。

術後の覚醒時に一緒にいる

麻酔は、覚醒時が一番リスクが高いです。

覚醒時、できるだけ側にいて上げる方が、ワンちゃんも安心です。

私も今回、特に心配だったのは、覚醒時でした。

麻酔から覚めたあとは、普段全く吠えない子が、絞りだすような物凄い声を上げましたが、ずっと抱かせてくれたので、少しは安心してくれたと思います。
(本来、目覚めた後は高濃度の酸素室にいれるところ、暴れたために特別の措置でした)

術後に身体機能を戻す

麻酔をかけて、一旦機能を止めた身体を戻すには力が必要です。

体力のない小さな子、持病のある子、高齢の子は身体機能を戻すのに時間が掛かる傾向にあります。

うちのコは、家に戻ってからも身体がおぼつかず、水も殆ど飲まず、食事は全く受け付けず、トイレもせず、上の犬歯を抜歯したことから、鼻からずっと血が流れている状況でした。

翌日も同じ状況で、痛み止めが切れているのに、口を開けてくれないため薬も飲ませることができず、本当にこの時が一番怖い思いをしました。

歯科処置をしてくれた先生に、食事をしないが薬は飲ませて大丈夫か確認したところ、「できれば空腹時の痛み止めは避けたいが、今は注射でもいいので、痛み止めを投与してください」、と言われました。

幸い、行きつけのアニマルケアサロンの予約を取ることができました。

注射でもいいので痛み止めを、と言ったところ、獣医師の先生は「身体が弱っているので、できれば自分でご飯を食べてから経口で薬を飲ませた方が良い」と、1時間かけてマッサージと針治療をしながら、根気よくなだめながらあの手この手で食事をとらせ、薬を飲ませてくれました。

先生によれば、麻酔で身体機能がいったん止められたのが、自分で戻す力が年齢的にも弱っていたとのこと。お腹が特に冷え切っているので、手でお腹と背中を挟んで温めるように教えていただきました。

そのおかげで、回復基調に乗ることができました。

これがなければ、回復に大変な時間が掛かったと思いました。根気よくケアしてくださった先生には本当に感謝です。

マッサージでトロトロの笑顔@アニマルケアサロンFlora

まとめ

フードや治療の高度化により、今後益々ワンちゃんも長生きするコが増えると考えられます。

ただ、高齢になれば、どうしても病気の発症率が上がり、「手術」するかの決断を迫られる方が増えてくると思います。

長く一緒にいるだけ愛情も深くなった我が子に「手術」を受けさせるか、本当に悩んでしまうと思います。

できるだけリスクを少なくしてあげる努力をするとはいえ、やはり身体への負担は避けられません。

できるだけ手術をしなくて済むよう、普段から健康には十分に注意することが必要です。

そのためには、総合的にワンちゃんの健康を診られる獣医師さんを探しておくことも重要なことです。

元気な時は、とかく、ワクチンと狂犬病の時しか獣医師さんに行かないので、どんな先生でもいい、と言う気持ちになってしまいます。

若いうちは問題なくても、せめて10歳を超えたら、元気なうちに良い獣医さんを見つけて掛かっておくことをお薦めします。

今回、歯科処置をしてくれた先生、術後のケアをしてくれた先生には本当に感謝しています。

毎日、本当に幸せな気持ちにさせてくれるうちのコに、少しでも長く、元気な時間を過ごして貰うよう、獣医師さんはしっかり選びましょう。